義務対象事業者(学校設置者等)向け

認定申請は不要。
施行日から、対応は「義務」になります。

幼稚園・認定こども園・認可保育所・小中高・特別支援学校・児童福祉施設・指定障害児通所支援事業・児童館などの設置者が対象です。 施行時現職者の研修受講は原則として施行前までに終える必要があり、残された時間は限られています。

施行日まで

計算中…

令和8年(2026年)12月25日 施行

義務対象事業者に「申請」はありません。だからこそ、期限の管理が要になります。

認定対象事業者と違い、手続の開始を事業者側が選ぶことはできません。施行日を起点に、研修・規程・体制整備・犯罪事実確認の期限が自動的に走り出します。 まずは下のスケジュールで、いま何が終わっていて何が残っているかをご確認ください。

時期に関する重要な注意

こども家庭庁の資料では、義務対象事業者についてGビズID(プライム)の取得を令和8年4月末頃までに、 事業者情報の事前登録を令和8年4月から7月の指定期間中に行うこととされています。 本日時点でこれらの期限は経過しています。未着手・未完了の場合は、速やかに所轄庁へご相談ください。

出典:義務事業者用準備ガイド Ver.1.0(令和8年7月22日・こども家庭庁支援局参事官)/事業者向けチェックリスト(令和8年4月22日)

1. あなたの施設は義務対象か

「学校設置者等」(法第2条第3項)は、法令に基づく認可等を受けて児童等に教育・保育等を提供する事業者です。 設置主体が公立か民間かでは決まりません。私立学校法人が運営する学校も義務対象です。

義務対象・認定対象の分かれ方(法第2条第3項・第5項)

義務対象と認定対象の判定の流れ 児童等に教育・保育等を提供する事業のうち、法令に基づく認可・指定等を受けているものが義務対象事業者、認可等を受けず届出等により行える事業が認定対象事業者となります。設置主体が公立か民間かでは決まりません。 児童等に教育・保育等を提供する事業 法令に基づく認可・指定等を受けているか 公立か民間かでは決まりません(私立学校も義務対象) 受けている 受けていない 義務対象事業者 =学校設置者等(法第2条第3項) このページの対象です 認定対象事業者 =民間教育保育等事業者(同第5項) 認定対象事業者向けページへ
同一法人が両方を併営する場合は、事業ごとに区分して対応します。判断に迷いやすい具体例は下表をご確認ください。
義務対象・認定対象の主な区分(判断に迷いやすいケースを含む)
施設・事業 区分 根拠・留意点
幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校 義務対象 私立を含む。学校教育法等に基づく認可を受けた学校の設置者
認定こども園 義務対象 幼保連携型認定こども園に在籍する幼児は「児童等」に含まれる
認可保育所、児童養護施設、障害児入所施設等の児童福祉施設 義務対象 児童福祉法に基づく認可等を受けた施設の設置者
指定障害児通所支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービス等) 義務対象 児童福祉法第21条の5の3第1項の指定を受けている場合
共生型障害福祉サービスの特例による障害児通所支援 義務対象 障害者総合支援法第41条の2により児童福祉法上の指定を受けているため(Q&A 3-5)
児童館 義務対象 Q&A 3-3で義務対象と明示
基準該当の障害児通所支援事業 認定対象 児童福祉法第21条の5の3第1項の指定を受けていないため(Q&A 3-4)
放課後児童クラブ(公設公営を含む)、放課後子供教室、地域未来塾 認定対象 公設公営でも認定対象(Q&A 3-2、3-10)
認可外保育施設、幼児教育類似施設 認定対象 幼児教育類似施設は民間教育事業として認定対象(Q&A 3-7)

※横にスクロールしてご覧いただけます。

出典:こども性暴力防止法施行ガイドライン Ⅲ.対象事業・対象業務/Q&A(令和8年4月22日)3-1〜3-5、3-7、3-10

認可保育所と認可外の一時預かりを併営している場合

同一法人が義務対象事業と認定対象事業を併営する場合、事業ごとに区分して対応します。 認可保育所は施行日から当然に義務が生じ、認可外部分は別途、事業単位での任意の認定申請を検討することになります。 対象業務従事者が両事業を横断して勤務している場合、犯罪事実確認や研修の取扱いの整理が必要です。

複数事業の併営で、区分の切り分けに迷っていませんか。
義務対象と認定対象が混在する法人では、従事者の兼務・異動の扱いが実務上の論点になります。保育・教育分野を専門とする社会保険労務士が整理をご支援します。

区分の整理を相談する

2. 施行までのスケジュールと期限

こども家庭庁が示す期限を時系列に整理しました。現在地は自動でマーキングされます。

12/25

令和8年12月25日
施行日(義務の発生)

施行前まで

施行時現職者の研修受講
(原則)

3年

施行時現職者の犯罪事実確認
令和11年12月24日まで

5年

再確認の周期
(前回確認日の翌日から)

年1回

施行後の定期報告

  • 令和8年1月9日

    施行ガイドライン策定

    全341頁。別紙1〜11として、対処規程・情報管理規程・就業規則参考例等のひな型も公表されました。その後令和8年2月10日に掲載資料が更新されています(本体・別紙4・別紙一式Zip)。

  • 令和8年4月末まで

    GビズID(プライム)の取得

    こまもろうシステムの利用に必要です。すべての学校設置者等に取得が必要です。複数の従事者でシステムを利用する場合は、プライムのアカウントからGビズID(第一管理者)を設定します。

  • 令和8年4月〜7月の指定期間

    事業者情報の事前登録(まとめ登録)

    登録漏れや誤りを防ぐため、所轄庁を通じて事業者情報をとりまとめ、システムへの一括登録と各事業者アカウントの発行が行われます。GビズIDを含む事業者情報をこども家庭庁に事前登録します。なお、提出期限の延長に関する通知(令和8年7月29日)が発されています。実際の期限は所轄庁からの案内とこども家庭庁のまとめ登録ページを必ずご確認ください。

  • 令和8年12月上旬まで

    権限設定の準備

    こまもろうシステムにおいて、犯歴情報を閲覧できる担当者を限定するための権限設定を準備します。ガイドライン別紙7の「権限設定表」を活用します。

  • 施行前まで

    施行時現職者への研修受講

    施行時現職者については、原則として法の施行前に研修を受講させる必要があります(Q&A 5-11)。座学と演習の組合せが必要で、標準動画の視聴だけでは足りません。

  • 令和8年12月25日

    法施行

    この日から、新たに対象業務に従事する者については従事開始日までに犯罪事実確認を終える必要があります。確認書の交付には日本国籍者で2週間〜1か月、外国籍者で1〜2か月かかるため、採用計画の逆算が必要です。

  • 令和9年1月中旬まで

    施行時現職者の犯罪事実確認 工程表の作成 ※教育委員会のみ

    施行時現職者の交付申請は時期を分散して行うこととされており、教育委員会は工程表を作成します。学校への申請対象月の通知も必要です。

  • 令和11年12月24日まで

    施行時現職者の犯罪事実確認 完了期限

    施行日時点で対象業務に従事していた者、および令和8年12月24日以前に内定・内示等があった者について、施行から3年以内に確認を完了させます。

出典:義務事業者用準備ガイド Ver.1.0(令和8年7月22日)/事業者向けチェックリスト(令和8年4月23日更新)/Q&A(令和8年4月22日)5-11、6-3、6-5、6-6/施行時現職者の犯罪事実確認書の交付申請の分散方法について(令和8年7月8日通知)

3. 施行までに必要な対応(4分類・全項目)

こども家庭庁「義務事業者用準備ガイド」が示す最低限実施すべき事項と、 「事業者向けチェックリスト」が示す全項目を統合しました。

1 制度についての従事者等への周知

  • こどもと接する業務に従事する者について、性犯罪前科の確認が必要になることを周知する 施行後は3年以内に現職者の性犯罪前科の確認が必要であり、そのための手続(戸籍等の登録等)が必要になります。
  • 性犯罪前科がある場合、こどもと接する業務に就くことができなくなることを周知する
  • 従事者側で必要になる対応(施行前の研修受講、マイナンバーカードの準備等)を周知する 戸籍等の提出は、デジタル認証アプリでマイナンバーカードをスマートフォンにかざす方法で行えます。

2 犯罪事実確認・防止措置関係

  • 「不適切な行為」の範囲の検討・確定現場との協議が必要 現場の従事者とコミュニケーションを図り、過度な萎縮につながらないよう、事業の実態に即して定めます。詳細は第5章。
  • 対象業務従事者の範囲の検討・確定 支配性・継続性・閉鎖性の3要件で判断します。詳細は第4章。
  • 就業規則の見直し(不適切な行為の範囲、懲戒事由等) 懲戒処分を行うには、あらかじめ就業規則に懲戒事由・懲戒種別を定め、周知することが必要です。詳細は第6章。
  • 採用募集要項・求人票の見直し 採用条件に特定性犯罪前科がないことを明示します。
  • 採用過程での性犯罪前科の事前確認(誓約書等による書面確認) これを行っていないと、内定取消しの有効性が問題になります。
  • 犯罪事実確認の実施体制整備(責任者の選任)
  • (委託・指定管理等を行っている場合)役割分担の検討

3 安全確保措置の実施のための体制整備

  • 性暴力事案の疑い発生時の報告ルールの策定・周知 報告方法(直ちに報告する等)・報告先・報告内容を含める必要があります。匿名通報窓口の設定も有効です。
  • 性暴力事案の疑い発生時の対応ルールの策定・周知 対応者・対応事項・対応手順等を定めます。一定の権限を有する役職者を責任者とし、複数名のチーム編成が推奨されています。
  • 事業者内における相談員の選任または相談窓口の設置・周知
  • 児童対象性暴力等に係る外部相談窓口の周知 こどもが複数の相談先から選択できるようにします。詳細は第9章。
  • 従事者向け研修の計画策定・実施施行前まで 座学と演習の組合せが必要です。8つの研修事項をすべて含める必要があります。
  • 児童等・保護者向けの周知・啓発 「不適切な行為」の範囲や相談先、相談後の対応の流れを周知します。
  • 施設・事業所環境の整備(死角の解消等)

4 情報管理措置

  • 情報管理規程の作成 閲覧者が1名か複数名か、システム外に記録・保存するかで、3つのひな型が使い分けられます。詳細は第10章。
  • 規程に沿った情報管理体制の整備 基本的事項・組織的・人的・物理的・技術的の5区分の措置を含めます。
  • 権限設定の準備・実施12月上旬まで
  • 情報管理担当者向け研修の実施

その他

  • 事業者向け研修の受講(担当者向け) 制度全体の解説動画・資料、応用編(労働法制、情報管理措置、事案発生時の対応)が公表されています。
  • 児童対象性暴力等対処規程の作成 ガイドライン別紙1にひな型があります。
  • 現職者の犯罪事実確認の工程表作成令和9年1月中旬まで ※教育委員会のみ
  • 国からの確認への対応(必要に応じて随時)

出典:義務事業者用準備ガイド Ver.1.0(令和8年7月22日)「法施行までに対応すべき事項に関するチェックリスト」/事業者向けチェックリスト(令和8年4月22日)義務対象事業者版/施行ガイドライン Ⅴ.安全確保措置

チェックリストを「自社の実行計画」に変換するには。
項目は公表されていても、自社の職種構成・勤務形態にどう当てはめるかは個別判断です。就業規則・情報管理規程の整備、研修設計まで一貫してご支援します。

実行計画の相談をする

4. 対象業務従事者の範囲をどう決めるか

犯罪事実確認の対象となるかは、業務の性質が支配性・継続性・閉鎖性の3要件をすべて満たすかで判断します。 雇用形態や雇用契約の有無を問わず、短期間の労働者も対象になり得ます。

対象業務従事者の判定 ── 支配性・継続性・閉鎖性(AND条件)

対象業務従事者の3要件 支配性、継続性、閉鎖性の3要件をすべて満たす業務の従事者が犯罪事実確認の対象となります。いずれかを満たさない場合は対象外です。 支配性 指導等を通じて優越的立場に 立つ機会が想定されるか 継続的に接する場合は原則あり 継続性 日常的・定期的、その他継続性 をもって接する機会があるか 不定期でも反復継続なら該当 閉鎖性 第三者の目に触れない状況で 接する機会が生じ得るか オンラインでの接触も含む + + 3要件すべてを満たす → 犯罪事実確認の対象 いずれかを満たさない → 対象外 教諭・保育士等は業務の性質上、必ず対象。事務職員・バス運転手等は個々の業務実態で判断します。 雇用形態や雇用契約の有無は問いません(短期間の労働者も対象になり得ます)
この線引きは、就業規則における「教員等」の範囲の条文設計に直結します。判断の具体例は下表をご確認ください。
3要件の考え方
要件考え方
支配性 業務上、児童等と接する中で、指導・コミュニケーション等を通じて優越的立場に立つ機会が想定される場合は、支配性があると判断。業務の中で児童等と接する機会が継続的にある場合は、原則として支配性があると判断
継続性 日常的・定期的、その他継続性をもって(不定期であっても反復継続が見込まれる場合など)児童等と接する機会が想定される業務は、継続性があると判断
閉鎖性 他の職員や保護者等が同席しないなど、第三者の目に触れない状況で児童等と接する機会が生じ得る場合(従事者一人に対して児童等が複数の場合を含む)は、閉鎖性があると判断。SNSやコミュニケーションアプリ、学習ツール等を通じたオンラインでの接触も含む

職種別の整理

職種全体が対象となるもの

教諭・講師、保育士、スポーツ指導者など。その業務の性質が3要件をすべて満たすため、必ず対象になります。

職種の一部が対象になり得るもの

事務職員、送迎バスの運転手、警備員など。個々の職員の業務実態に応じて、3要件を満たす場合に対象となります。

判断の具体例(準備ガイド参考資料より)

実態を踏まえて対象か否かが判断される職種の例
職種対象となる例対象外となる例
事務職員 事務作業を中心としつつも、保護者と職員が面談する際に別室で児童等の面倒を見るなど、例外的な場面では児童等と接触することも業務として想定される者 業務が電話対応、書類整理などに限定され、児童等との接触がほとんど想定されない者
バス運転手等 日々の送迎業務で、他の職員が同席しないバスで児童等に会話等を通じて接触することが想定される者(特に最後に降ろす児童等とは一対一になる) 他の職員の同乗が前提となっており、第三者の同席がない状況で児童等と接することがほとんど想定されない者(閉鎖性を満たさない)

※横にスクロールしてご覧いただけます。

就業規則への落とし込みが重要です

ガイドラインの就業規則参考例では、園長・副園長・事務局長・主任・副主任・保育士・保育補助・保健師・看護師・准看護師といった職種を列挙し、 さらに管理栄養士・栄養士・調理員・事務員・送迎バス運転手・送迎バス添乗員については 「業務を通して児童等と接する機会のない者を除く」という留保を付ける形で「教員等」の範囲を規定しています。

つまり、職種名を並べるだけでは足りず、接触機会の有無で線を引く条文設計が必要になります。 これは労務管理上、配置転換や職務内容の変更と直結する論点です。

実習生の取扱い

大学等が作成する実習計画において、原則としてこどもと一対一にさせないことが位置づけられ、施設側でそのような対応が可能であり、 指導教員等の監督の下で接することが担保されている場合は、犯罪事実確認は求められません。 一方、実習計画上こどもと一対一になることが予定されている場合や、実習期間が相当長期にわたる場合は対象となります。 要否を最終的に判断し交付申請を行うのは、実習施設となる対象事業者です。

派遣労働者の取扱い

対象業務に従事する派遣労働者については、派遣先において犯罪事実確認を行うことが必要です。

出典:義務事業者用準備ガイド Ver.1.0 2-②/同 参考資料(令和8年8月10日版)/施行ガイドライン Ⅲ.2「教員等」、Ⅲ.8「実習生の取扱い」、p119〜/Q&A(令和8年4月22日)3-12〜3-14、6-15

5. 「不適切な行為」の範囲をどう定めるか

「不適切な行為」とは、それ自体は児童対象性暴力等に該当しないが、業務上必ずしも必要とは言えず、 継続・発展することにより児童対象性暴力等につながり得る行為です。この段階で皆で注意し、防止していくことが制度の要です。

「具体例をそのまま就業規則に写す」のは危険です

ガイドラインの具体例は、すべての事業者で一律に不適切と判断されるものではありません。 不適切か否かは、事業内容、こどもの発達段階や特性、現場の状況等によって変わり得ます。

特に保育現場では、未就学児を膝に乗せる・おんぶするといった行為は業務として行い得るものとされています。 外形的に具体例に当てはまる行為を必要な業務として行う場合は、事前にルールを定めて対応する必要があります。

「不適切な行為」の類型と具体例

準備ガイド参考資料に示された類型別の具体例
類型具体例
私的なコミュニケーション、面会、送迎等 ・児童等と私的な連絡先(SNSアカウント、オンラインゲームのアカウント、メールアドレス等)を交換し、私的なやり取りを行う
・休日や放課後に、児童等と二人きりで私的に会う
・保護者の承諾がないまま、児童等の自宅で二人きりになる
・児童等を自宅に招き、二人きりになる
・不必要に、児童等を一人で車に乗せて送迎を行う
撮影 ・私物のスマートフォンや、ルール外の方法で児童等の写真・動画を撮影・管理する
・業務上必要と考えられる範囲外で、児童等の写真や動画の撮影を行う
密室 ・不必要に児童等と密室で二人きりになろうとする(用務がないのに別室に呼び出すなど)
・更衣や宿泊を伴う活動で、不必要に児童等と二人きりで更衣室やお風呂等を利用する
身体接触 ・児童等に不必要な接触を行う(必要以上に長時間抱きしめる、一般的ではない抱き方になっているなど)
・業務上必要でないのに児童等を膝に乗せる、おんぶするなど
※未就学児に対する膝に乗せる・おんぶするといった行為は、業務として行い得るものであることに留意
・業務上必要でないのにマッサージをする、させる、寝かしつけの際に特定の児童等とだけ添い寝をする
・視覚障害児の誘導時に必要以上に距離が近い
排せつ介助等 ・児童等の発達段階や特性から考えて、不必要な入浴および排せつ介助を行おうとする
・おむつ交換時に、衣服の上から陰部を触ったりつかむように確認したり、おむつの中に手を入れて確認するなど、誤解を受けるような仕方で交換する
・児童等が一人で排せつ・入浴・着替え等を行いたいとの意思を示している中で、わざわざ介助に入る
・特段の必要性がなく特定の児童等だけに排せつ介助を行おうとする
更衣 ・不必要に、更衣室や児童等が更衣中の部屋に入室する
・不特定多数の人の目がある中で児童等に更衣をさせる
特別扱い ・特定の児童等に高価な金品を与えたり、正当な理由なく声掛けや態度を変えたりする
・児童等の容姿等を過度にほめる
・特定の児童等の保育・介助等を、理由なく担当しようとする
その他 ・児童等の衣服や持ち物を正当な理由なく触ったり、借りたりしようとする
・従事者が過度に肌を露出する
※肌を露出することへの児童等の抵抗感や警戒心を徐々に低減させ、性暴力が起きやすい状況を生み出し得るため、「性的手なずけ」につながり得るものとして記載されています

※横にスクロールしてご覧いただけます。

「重大な不適切な行為」という区分

「不適切な行為」の中には、加害認識や被害の重大性、悪質性等を踏まえて「重大な不適切な行為」と判断されるものがあります。 具体的には、「執拗に」「児童等や保護者の意に反することを認識しながら」といった悪質性が高まる要素が加わった場合です。

不適切な行為が認定された場合の対応の段階
程度求められる対応
初回かつ比較的軽微 まず、なぜその行為を行ったのか背景の理由や考えを尋ねた上で、当該行為を繰り返さないよう指導や研修受講命令を行い、注意深く経過観察を行う等、段階的な対応
重大な不適切な行為 児童対象性暴力等が行われた場合に準じた対応(対象業務に従事させない等)

範囲を定めるプロセスそのものが要件です

ガイドラインは、範囲を定めるに当たって必要に応じて専門家に相談すること、 現場で業務を担う従事者とコミュニケーションを図ること、 従事者が過度に萎縮しないよう留意することを求めています。 定めた後は、従事者に加えて、こどもや保護者にも周知徹底し、理解を得て業務を行うことが必要です。

出典:義務事業者用準備ガイド(参考資料)(令和8年8月10日版)「不適切な行為の具体例①②」/施行ガイドライン Ⅱ.2(2)不適切な行為 p20〜、図表2(p21-22)/Q&A(令和8年4月22日)2-3〜2-8

6. 就業規則・採用実務の見直し(労務の核心)

この法律への対応は、労務管理そのものの問題に直結します。 就業規則の整備を先に済ませていないと、いざ性犯罪前科が判明しても有効な措置がとれません。

あらかじめ定めておくべき事項

  • 各施設・事業における対象業務従事者の範囲
  • 内定取消事由や試用期間に係る解約事由として、「重要な経歴の詐称」を定めること
  • 就業規則において、懲戒事由として次の内容を定めること ・重要な経歴の詐称
    ・「刑罰法規の各規定に違反する行為が認められた場合」「企業秩序を乱した場合」等の一般的な刑罰法規違反・企業秩序義務違反
    ・「正当な理由なく、業務上の指示・命令に従わなかったとき」等の一般的な業務命令違反
    ・「こども性暴力防止法上の『児童対象性暴力等』に該当する行為を行ったとき」「児童対象性暴力等につながる不適切な行為を行ったとき」
  • 就業規則およびその他服務規律等を定めた文書において、次の内容を定めること ・「児童対象性暴力等」および「児童対象性暴力等につながる不適切な行為」の範囲
    ・教育や保育を提供する場においてこれらの行為を行ってはならないこと
    ・これらの行為を行ったり、それを理由として刑罰を科されたりした場合は、速やかに報告すること
  • 採用募集要項の採用条件や内定前(履歴書提出時)の誓約書の誓約事項として、特定性犯罪前科がないことを明示すること
  • 犯罪事実確認の手続に応じる義務

求職者・現職者にあらかじめ確認・伝達しておくべき事項

確認事項

  • 求職者の特定性犯罪前科の有無 ※書面等で確認すること(採用面接等を通して確認することが望ましい)。求職者に対してのみ実施すべき事項です。

事前伝達等事項

  • 制度の趣旨・目的、各施設・事業における対象業務従事者の範囲、個人情報の管理は徹底されること
  • 施行時・認定時または採用内定後等に、犯罪事実確認の対象となること、および申請従事者から国に対して戸籍等の提出を行う必要があること
  • 犯罪事実確認の結果、特定性犯罪事実該当者であることが確認された場合、 または戸籍等の提出が行われず、法定の期限までに犯罪事実確認書の交付が行われない場合には、対象業務に従事させることができないこと
  • 内定取消事由や試用期間に係る解約事由として、「重要な経歴の詐称」を定めていること
  • 就業規則に定める懲戒事由に該当する場合は懲戒処分の対象になり得ること。 特に「児童対象性暴力等」および「児童対象性暴力等につながる不適切な行為」は、厳格な懲戒処分の対象になり得ること
  • その他、採用募集要項の採用条件や内定前の誓約書、関連する服務規律等を定めた文書等の内容

出典:事業者向けチェックリスト 別紙2「労働法制上の観点から事業者があらかじめ行うべきと考えられる事項①②」(施行ガイドライン Ⅶ.安全確保措置(防止措置)2(5)抜粋)

ここが実務の分かれ目:内定取消しの有効性

特定性犯罪事実該当者であると判明した場合、内定者なら内定取消し、試用期間中なら解約(本採用拒否)、現職者なら配置転換等により、 対象業務に従事させないことが求められます。

しかし内定取消しが有効と認められるためには、法に基づく犯罪事実確認とは別に、採用過程で性犯罪歴がないことを書面等で確認し、内定取消事由を予め明示しておくことが必要です。 この事前対応を欠くと、「重要な経歴の詐称」に該当するという構成が取りにくくなります。

さらに、これらの措置を講じる際には労働関係法令等の遵守が必要であり、 懲戒処分の場合は懲戒事由・種別の事前の定めと周知、弁明の機会の付与等の手続的相当性の確保が求められます。

事実確認が未了の段階でやってはいけないこと

こどもや保護者から被害の申出があった場合、接触回避のため一時的に対象業務から外し、自宅待機や別業務に従事させる措置が必要です。 ただしこれは必要な事実確認ができるまでの暫定的な対応です。

事実確認が未了であるにもかかわらず、加害事実があることを前提とした懲戒等の処分や、確定的な配置転換等の労働者の地位に変更を生じさせるような対応をとることはあってはなりません。

また、調査の結果、加害を行っていないことが証明された従事者が職場復帰する際には、配慮が必要とされています。

就業規則の改定と労使コミュニケーションは、施行前にしかできません。
懲戒事由の設計、不適切な行為の条文化、意見聴取・周知の手続、誓約書や募集要項の整備まで、社会保険労務士としてご支援します。

就業規則の見直しを相談する

7. 犯罪事実確認の手続と期限

犯罪事実確認とは、教員等または教育保育等従事者について、特定性犯罪事実該当者であるか否かを、 こども家庭庁から交付される犯罪事実確認書により確認することをいいます。

確認の対象者と期限

義務対象事業者における犯罪事実確認の期限
区分定義期限
新規従事者 施行日(令和8年12月25日)以降に新たに対象業務に従事することとなる者 当該業務の従事開始日まで
施行時現職者 施行日時点で対象業務に従事している者、および令和8年12月24日以前に内定・内示等があり従事させることが決定していた者 令和11年12月24日まで(申請時期は分散)
5年ごとの再確認対象者 確認日の翌日から5年を経過する日の属する年度の末日を超えて引き続き対象業務に従事する者 前回の確認日の翌日から5年を経過する日の属する年度の末日まで

標準処理期間と採用計画への影響

確認書の交付にかかる期間から逆算した採用活動が必要です

  • 日本国籍者:2週間から1か月程度
  • 外国籍者:1か月から2か月程度

内定前の犯罪事実確認はできません。犯罪歴は極めて機微性の高い個人情報であり、 本人の承諾があったとしても、対象業務に従事することが決定していなければ確認を行うことはできません。

つまり「内定 → 確認申請 → 交付 → 従事開始」という順序が固定されており、 従事開始日から最低1か月(外国籍者は2か月)を逆算した内定日の設定が実務上不可欠になります。 年度替わりの4月1日付採用では、逆算すると2月上旬までに内定を出す必要があるという計算になります。

いとま特例

標準処理期間の最長期間より前に交付申請をしたにもかかわらず、当該期間を経過しても確認書が交付されない場合は、 いとま特例の「やむを得ない事情」に該当するものとして取り扱われます。 いとま特例が適用される場合、事業者は所定の措置を講じる必要があります(詳細はガイドラインⅥ参照)。

手続の流れと提出書類

事業者が入力・提出するもの

こまもろうシステム上で、申請従事者が行う業務の内容、従事予定日、共同申請の場合は確認書の送付を受ける者、 申請従事者の区分等(いとま特例が適用される場合はそのやむを得ない事情および必要な措置の内容)、 県費負担教職員等である場合はその旨、GビズIDを入力します。

従事者が入力・提出するもの

氏名、住所または居所、生年月日、性別、対象事業者の名称・所在地等をシステム上で入力します。 外国籍の場合は、来日履歴、氏名のカナ読み、重国籍の有無等も必要です。

  • 日本国籍:すべての戸籍・除籍の抄本等 デジタル認証アプリを活用し、マイナンバーカードをスマートフォンにかざすことで提出できます(一部対応していない戸籍等があります)。従事者へのマイナンバーカード準備の周知が必要です。
  • 外国籍者:在留カード、住民票、旅券の写し等、および過去に氏名等の変更があった場合はそれを証する戸籍相当書類

※過去の交付申請で既に提出した書類は、一部を除き提出を省略できます。

事前通知の仕組み

申請の対象の従事者が特定性犯罪事実該当者に該当するという結果を得た場合、こども家庭庁は、 事業者に確認書を交付する前に、従事者本人に通知を行います。誤りがあった場合の訂正の機会を確保するための仕組みです。 従事者は次のいずれかの対応を行います。

事前通知を受けた従事者の対応
対応内容
通知確認済の連絡通知内容を確認し誤りがない場合、その旨の連絡を行う
訂正請求誤りがあると思われる場合、事前通知を受けた日から2週間以内に内容の訂正を請求できる
中止要請内定辞退等により従事しないこととなった場合に行える。ただし中止要請により交付申請を無効とすることはできないため、従事者は事業者に対し従事しない旨を連絡し、申請の取下げを伝達する必要がある

※2週間以内にこれらの手続のいずれも行われなかった場合、事前通知の内容を記載した犯罪事実確認書が事業者に交付されます。

既存のデータベース照会は引き続き必要です

こども性暴力防止法の施行後も、教員データベースや保育士データベースの活用が義務付けられている事業者は、 これらの照会を引き続き行う必要があります。

理由は、こども性暴力防止法の犯罪事実確認が過去の性犯罪歴を確認するものである一方、 教員・保育士データベースは過去の児童等に対する性暴力等による行政処分歴を確認するものであり、 これらに重複がない場合があるためです。

出典:Q&A(令和8年4月22日)6-1〜6-15/施行ガイドライン Ⅵ.安全確保措置(犯罪事実確認)/義務事業者用準備ガイド Ver.1.0

8. 防止措置と労働法制上の留意点

防止措置とは、従事者による児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認める場合に、 これを防止するために必要な措置をいいます。

「おそれがあると認めるとき」の4ケースと対応

ケース別の防止措置
ケース必要な対応
(ア)特定性犯罪事実該当者であった場合 対象業務に従事させないことが必要。
・新規採用の内定者:内定取消し
・試用期間中:解約(本採用拒否)
・現職者:配置転換等
※労働関係法令等を遵守した対応が必要
(イ)在籍する児童等やその保護者から、特定の教員等による被害の申出があった場合 接触を回避するため、その従事者を一時的に対象業務から外し、自宅待機や別業務に従事させる。
これは事実確認ができるまでの暫定的な対応であり、事実確認が未了の段階で、加害事実を前提とした懲戒処分や確定的な配置転換等を行うことはできない。
(ウ)調査等の結果、児童対象性暴力等が行われたと合理的に判断される場合 対象業務に従事させないよう、懲戒事由に該当する場合は懲戒処分を行う(懲戒処分のみでは対象業務に従事させないことにならない場合は、加えて配置転換等)。
※就業規則に懲戒事由・種別を定め周知しておくこと、弁明の機会の付与等の手続的相当性を確保すること等が必要
(エ)調査等の結果、性暴力には該当しないが不適切な行為が行われたと合理的に判断される場合 初回かつ比較的軽微な場合は、背景の理由を尋ねた上で指導や研修受講命令を行い、経過観察を行う等の段階的な対応。
重大な不適切な行為である場合は、性暴力が行われた場合に準じた対応(対象業務に従事させない等)

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派遣労働者の場合

派遣先において犯罪事実確認を行った結果、特定性犯罪事実該当者であることが分かり防止措置を講じる場合の対応は、 直接雇用の場合と異なる考慮が必要です(Q&A 7-8、ガイドライン参照)。

職場復帰への配慮

調査の結果、加害を行っていないことが証明された従事者が職場復帰するに当たっては、配慮すべき事項があります。 また、児童対象性暴力等があったという事実が評価できない場合でも、事業者として疑いが生じたことは重く受け止め、 従事者の人権への配慮の必要性を考慮しつつ、両者の接触を極力避けるなど、 被害を申告した児童等の心身の安全・安心に十分配慮した事業運営が求められます。

出典:Q&A(令和8年4月22日)7-1〜7-9、2-7/施行ガイドライン Ⅶ.安全確保措置(防止措置)2(4)①ウ、2(5)

9. 安全確保措置(報告・対応ルール、相談体制、研修)

報告ルールと対応ルール

報告ルール

従事者が疑いを把握した場合に、組織に適切な報告を行い、必要な対応につなげるために定めるものです。次の内容を含める必要があります。

  • 報告方法(直ちに報告する等)
  • 報告先(誰に報告するか)
  • 報告内容(何を伝えるか)

事業者内部に匿名通報窓口を設定することや、従事者向けの外部通報窓口等の周知も、報告しやすくする工夫として重要とされています。

対応ルール

報告を受けた後、迅速かつ的確な対応を行うために、あらかじめ定めておくものです。次の内容を定めます。

  • 対応者
  • 対応事項
  • 対応手順 等

重大事案にも対応できる一定の権限を有した役職者をこどもの安全・保護に関する責任者として定め、 その下にメンバーを集めて複数の従事者によるチーム編成を行うことが推奨されています。

疑いが生じた場合の対応の流れ

初期対応・調査・調査を踏まえた対応
段階対応内容
初期対応 発覚時の初期対応/一時的な接触回避策としての防止措置/保護者への連絡・説明/関係機関等との連携 等
調査 情報および客観証拠の保全/聴き取り/事実の有無の評価
※犯罪であることが明らかである、またはその疑いがある場合は、速やかに警察に通報または相談。 特に保育所・児童養護施設等に入所する児童等に対する性的虐待の疑いがある場合は、児童福祉法等に基づき所管行政庁等と連携
調査を踏まえた対応 対応方針の決定/防止措置/保護・支援/その他の関係者への対応・支援/再発防止策の検討・実行 等

再発防止策を検討する際の留意点

  • 個別事案の原因を踏まえるだけでなく、その背景にある要因や、組織・運営等における根本的な課題を踏まえること
  • 個人の責任追及ではなく、客観的にどのようにすれば再発防止できるかを議論すること
  • どのように組織文化や体制を改善していくことができるかという観点で検討すること

相談体制の整備

次の2つが義務付けられています。

  • 事業者内における相談員の選任または相談窓口の設置・周知
  • 児童対象性暴力等に係る外部相談窓口の周知

設置・周知の際には、こどもの発達段階や特性を踏まえ、相談しやすくなる工夫をすることがポイントです。 こどもが複数の相談先から選択できるようにします。

周知対象となる主な公的相談窓口

準備ガイドに掲載された公的機関等の相談窓口
窓口管轄連絡先・受付
24時間子供SOSダイヤル文部科学省0120-0-78310(無料)/24時間365日・電話
こどもの人権110番、LINEじんけん相談等法務省0120-007-110(無料)/平日8:30〜17:15・電話・メール・LINE
こどもの人権SOSミニレター法務省郵送(切手不要)/毎年5〜7月に学校で配布
親子のための相談LINEこども家庭庁LINE/受付時間は各地方公共団体による
こども家庭センターこども家庭庁お住まいの市区町村のホームページ等参照
児童相談所相談専用ダイヤルこども家庭庁0120-189-783(無料)
Curetime内閣府毎日17〜21時/チャット(多言語)・メール
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター内閣府#8891(無料)/電話・一部メール・SNS
犯罪被害者等早期援助団体警察庁電話(一部メール・問い合わせフォーム)
性犯罪被害相談電話警察庁#8103(無料)/※緊急時は110番通報

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このほか、地方公共団体がこどもを対象にした相談窓口を設置している場合はそれも周知対象となり得ます。 保育所等の場合は所管行政庁が設置する虐待に関する相談窓口も周知対象です。 障害児の場合は地方公共団体の障害者福祉課等・自立支援協議会も相談窓口となり得ます。
なお、外部相談窓口によっては、児童等からの相談により得た情報を事業者に提供することを想定していない場合があります。

従事者向け研修

「動画を見せるだけ」では要件を満たしません

研修は座学と演習を組み合わせたものである必要があり、次のア〜クの内容をすべて含む必要があります。 施行時現職者については、原則として施行前までに受講させる必要があります。

研修に含めるべき8項目
項目内容
ア 防止に関する基礎的事項 こどもの権利についての理解(一人の人間として人権を持つこと、成長の過程で特別な保護や配慮が必要なこどもならではの権利があること、こどもの同意があったと主張して性暴力を正当化することはこどもの意見の尊重には決してならないこと等)/法の概要/児童等に対する性暴力の特性(被害の深刻さ、発見・開示のしづらさ、相談・開示までのプロセス)/加害者個人に起因する要因(「認知の偏り」「性的手なずけ(グルーミング)」等)/環境に起因する要因(支配性を有する立場等)
イ 性暴力等および「不適切な行為」の範囲 児童対象性暴力等にはわいせつな言動、盗撮等が含まれること/「不適切な行為」は各事業者でルールを設定し、関係者で認識を共有することが重要であること
ウ 疑いの早期発見 日常観察および面談・アンケートの留意点
エ 相談、報告等を踏まえた対応 被害等の相談を受けた際の心構え/対応の留意点(寄り添い、二次被害・記憶の汚染の防止等)/従事者が行う具体的な対応の流れ(疑い段階から重く受け止め、ルールに則って速やかに報告すること等)/事業者が行う対応の流れ(事実確認からおそれの判断・対応の決定まで)
オ 被害児童等の保護・支援 被害児童等・保護者への真摯な対応/見守り・寄り添い等の例
カ 犯罪事実確認において従事者に求められる対応 犯罪事実確認の手続の全体像/対象業務従事者に求められる対応
キ 防止措置の基礎的事項 おそれがあると認められる場合/防止措置の内容
ク 厳格な情報管理の必要性 事業者に課せられる情報管理措置の内容(性犯罪歴に関する適切な情報の取扱い等)

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標準動画と要点動画の使い分け

  • 標準動画:理解しておくことが望ましい標準的な内容を網羅。原則として、対象業務への従事者には標準動画を用いた研修を受講させる必要があります ※業界団体・事業者が独自に実施する研修(ガイドラインで定める研修事項を満たし、座学および演習を行うものに限る)を受講させることも可能です。
  • 要点動画:最低限必要とされる事項を網羅。不定期・短期間で従事する者等、標準研修の受講が直ちに困難である者については、要点動画を用いた研修とすることが可能です

なお、勤務期間が短い職員や短時間勤務の職員も研修の対象です。 施行後に新たに児童等に接する業務に従事することとなった方については、従事する前に研修の受講が必要になります。

日頃から講ずべき措置

  • 服務規律等の整備・周知
  • 施設・事業所環境の整備(死角の解消等)
  • 対象業務従事者に対する研修
  • 児童等や保護者への教育・啓発
  • 児童等との面談その他の性暴力等のおそれを早期に把握するための措置(日常観察、定期的な面談・アンケート)

被害の早期把握のために、「日頃からの見守り」が重要とされています。

出典:義務事業者用準備ガイド Ver.1.0 3-①〜③/施行ガイドライン Ⅴ.2(1)〜(4)、3、4、p121〜122、p132〜、p135〜/Q&A(令和8年4月22日)5-1〜5-11

研修は「実施計画・受講記録・評価」まで求められます。
8項目すべてを座学と演習で満たす研修設計、記録管理の仕組みづくり、講師登壇によるご支援も承ります。

研修の設計・登壇を相談する

10. 情報管理措置と情報管理規程

犯歴は極めて機微な情報です。みだりに他人に知らせた場合、法に基づく刑事罰が科されるだけでなく、民事上の損害賠償請求の対象にもなり得ます。

日頃から取り組むこと

  • 犯歴という非常に機微な情報について、適正に管理を行う
  • 犯歴情報を適正に管理するためのルール(情報管理規程)を整える
  • 犯歴情報を扱う者を必要最小限に限定する
  • こまもろうシステムでのみ犯歴情報を扱う(別の記録・保存は極力控える)
  • 犯歴情報を扱う情報端末のセキュリティ環境を整える

情報漏えい等が起こった場合

万が一、漏えいなどの重大な事態が発生した場合、国(こども家庭庁)に直ちに報告します。 場合によっては、個人情報保護委員会への報告も必要です。

情報管理措置の全体像

① 基本的事項情報管理措置の7つの基本原則(取扱者は必要最小限、記録・保存は極力回避 ほか)
② 組織的情報管理措置組織体制の整備、規程に基づく運用、漏えい等の事案に対応する体制の整備
③ 人的情報管理措置犯歴情報を扱う従事者に対する研修・訓練
④ 物理的・技術的情報管理措置取扱区域の管理、機器・電子媒体の盗難防止、アクセス制御、不正アクセスの防止

※②〜④には「ア 標準的措置」「イ 最低限求められる措置」の2水準が設けられています(後述)。

情報管理規程に定める内容

情報管理規程の5区分
区分主な内容
①基本的事項情報管理措置の7つの基本原則
②組織的情報管理措置組織体制の整備/情報管理規程に基づく運用/漏えい等の事案に対応する体制の整備 等
③人的情報管理措置従事者の研修・訓練 等
④物理的情報管理措置犯罪事実確認記録等を取り扱う区域の管理/機器および電子媒体等の盗難等の防止 等
⑤技術的情報管理措置アクセス制御/外部からの不正アクセス等の防止 等

情報管理措置の7つの基本原則

  1. 犯罪事実確認記録等の取扱者は必要最小限とすること
  2. 犯罪事実確認書の内容の記録・保存を極力避けること
  3. やむを得ず記録・保存する場合には、リスクに応じた情報管理措置を行うこと
  4. 情報機器の種類、ネットワークの状況等に応じた情報管理措置を講じること
  5. 犯罪事実確認記録等の取扱いの手順に応じて必要な対応を行うこと
  6. 組織の長自ら情報管理の重要性を理解し、組織的に点検・改善を実施すること
  7. 法に定める情報管理措置に関する規定を遵守すること

2つの水準

組織的・人的・物理的・技術的情報管理措置については、具体的な措置の内容に2つの水準が設けられており、 可能な限り「標準的措置」を満たすようにしなければなりません。

水準位置づけ
ア 標準的措置実施困難等の事由がない限り実施されるべき基本的水準
イ 最低限求められる措置すべての事業者に施設・事業単位で満たすよう求める水準

3つのひな型の選び方

情報管理規程のひな型は、①犯罪事実確認を通じて得た情報を閲覧するのが責任者1名か複数名か、 ②こまもろうシステム以外にも犯罪事実確認記録等を記録・保存するかという情報管理の方法により、3種類が用意されています。

情報管理規程ひな型の使い分け
ひな型閲覧者システム外の記録・保存
ひな型①責任者1人のみ行わない
ひな型②責任者を含む複数名行わない
ひな型③責任者を含む複数名行う

※こども家庭庁は、ひな型ごとに対応する解説動画(パターン1〜3)を公表しています。どの動画を視聴すべきかは「動画視聴のための手引き」を参照してください。

権限設定の準備は12月上旬までです

こまもろうシステムにおいて、誰が犯歴情報を閲覧できるかを設定する必要があります。 ガイドライン別紙7の「権限設定表」を活用し、令和8年12月上旬までに準備を終える必要があります。 情報管理担当者向けの研修実施も必要です。

出典:義務事業者用準備ガイド Ver.1.0 「4 情報管理規程の作成・規程に沿った情報管理体制の整備」/施行ガイドライン Ⅷ.情報管理措置 p244〜/同 別紙7〜10

11. 定期報告・監督・罰則

施行後は年1回の定期報告があります

法令に基づく措置の取組状況について、施行後は年に1回、こども家庭庁に対する定期報告を行う必要があります。 併せて、各業法に基づく指導監査においても、取組状況について確認が行われます。

仮に定期報告や指導監査の中で、法令に基づく措置が適切に行われていないことが分かった場合には、 違反事業者の公表や、必要に応じて報告徴収・是正命令・認可の取消し等が行われるほか、 刑罰(拘禁刑・罰金刑)が科されることがあります。

加えて、犯罪事実確認によって得た従事者の性犯歴をみだりに他人に教えるなどした場合は、 法に基づく刑事罰が科されるだけでなく、民事上の損害賠償請求の対象にもなり得ます。

出典:義務事業者用準備ガイド Ver.1.0(令和8年7月22日)/施行ガイドライン Ⅸ.監督等/Q&A(令和8年4月22日)9.監督等

12. 使えるひな型・研修教材

こども家庭庁が公表しているひな型・参考例・教材です。いずれも公式サイトからダウンロードできます。

規程・様式のひな型(施行ガイドライン別紙)

採用・周知のひな型(ひな型リンク集より)

研修教材

義務対象事業者向けの通知

13. よくあるご質問

短時間勤務のパート職員にも研修は必要ですか

必要です。勤務する期間が短い職員や短時間勤務の職員も研修の対象です。ただし、不定期・短期間で従事する者等、標準研修の受講が直ちに困難である者については、要点動画を用いた研修とすることが可能です。

なお、雇用形態の違いや雇用契約の有無にかかわらず、短期間の労働者も犯罪事実確認の対象になり得ます。

内定を出す前に犯罪事実確認をしておくことはできますか

できません。犯罪歴は極めて機微性の高い個人情報であり、真に確認が必要な従事者についてのみ確認を行うことができます。本人の承諾があったとしても、対象業務に従事することが決定していなければ確認は行えません。

そのため、従事開始日から標準処理期間(日本国籍者2週間〜1か月、外国籍者1〜2か月)を逆算した採用スケジュールの設計が必要です。

従事開始日までに確認書の交付が間に合わない場合はどうなりますか

原則として、こどもと接する業務に従事する前に犯罪事実確認を行うことが必要です。施行日以降は、この期限を十分に踏まえた採用活動が求められます。

ただし、標準処理期間の最長期間より前に交付申請をしたにもかかわらず期間を経過しても交付されない場合は、いとま特例の「やむを得ない事情」に該当するものとして取り扱われます。この場合、事業者は所定の措置を講じる必要があります。

戸籍等の提出を従事者が拒んだ場合、どうなりますか

戸籍等の提出が行われず、法定の期限までに犯罪事実確認書の交付が行われない場合には、対象業務に従事させることができません。

この点は、採用時および現職者に対してあらかじめ書面等で伝達しておくべき事項としてチェックリスト別紙2に明記されています。事前の伝達を欠くと、実際に提出拒否が生じた際の対応が困難になります。

委託や指定管理を行っている場合、誰が対応するのですか

委託・指定管理等を行っている場合は、あらかじめ役割分担の検討が必要です(チェックリストの項目に明記されています)。義務対象事業者としての責任の所在、犯罪事実確認の実施主体、情報管理の分担などを整理しておく必要があります。

派遣職員がいる場合、犯罪事実確認は派遣元・派遣先のどちらが行いますか

対象業務に従事する派遣労働者については、派遣先において犯罪事実確認を行うことが必要です。

実習生を受け入れています。犯罪事実確認は必要ですか

大学等が作成する実習計画において、原則としてこどもと一対一にさせないことが位置づけられ、施設側でそのような対応が可能であり、指導教員等の監督の下で接することが担保されている場合は、確認は求められません。

一方、実習計画上こどもと一対一になることが予定されている場合や、実習期間が相当長期にわたる場合は対象となります。要否を最終的に判断し交付申請を行うのは、実習施設となる対象事業者です。

保育士データベースの照会は、施行後も必要ですか

必要です。こども性暴力防止法の犯罪事実確認は過去の性犯罪歴を確認するものですが、保育士データベースや教員データベースは過去の児童等に対する性暴力等による行政処分歴を確認するものであり、これらに重複がない場合があるためです。

出典:こども性暴力防止法に関するQ&A(令和8年4月22日)3-13、3-14、5-9〜5-11、6-4〜6-7、6-14、6-15/事業者向けチェックリスト 別紙2

施行まで残された時間で、何を優先すべきか。

この法律への対応は、就業規則の改定、懲戒事由の設計、採用実務の見直し、研修体制の構築、情報管理規程の整備という、 労務管理の実務そのものです。とりわけ就業規則の整備と労使コミュニケーションは、施行前にしかできません。 保育業界を専門とする社会保険労務士が、優先順位の整理から規程整備、研修設計・講師登壇までご支援します。

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